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『どきんちょ!ネムリン』研究

『どきんちょ!ネムリン』(1984〜85)を敬愛するブログです。

第17話「サンタ・一発大勝負!!」(1984年12月23日放送 脚本:浦沢義雄 監督:田中秀夫)

【ストーリー】

 大岩家の居間にて、ネムリン(声:室井深雪 人形操作:塚越寿美子、田谷真理子、日向恵子)が「ジングルベール」と唄いながら、クリスマスツリーの飾りつけをしていた。

ネムリン「クリスマス、クリスマス、嬉しいな〜」

 そこへ諍いの声が。

 ネムリンが雨戸を開けると、2階のベランダでマコ(内田さゆり)と玉三郎(飛高政幸)が「いる!」「いないの!」と言い合っている。

玉三郎「じゃあ去年のクリスマスプレゼント、あれいったい誰が持ってきたんだ?」

マコ「お兄ちゃん、来年中学よ。そんなことも判らないの。パパとママに決まってるでしょ」

 サンタクロースの存在を主張する玉三郎は、すねた顔。

マコ「その顔で気持ち悪いんだもん。ぶりっこ止めて!」

 マコは玉三郎をひっぱたき、ふたりはつかみ合いに。ネムリンは慌てて飛んでいき止めようとして、叩き落とされる。すると唐突に、庭にタイムスリップおじさん(奥村公延)が出現。

タイムスリップおじさん「またこのうちに来ちまった」

 原始時代でマンモスを追っていたら、来てしまったのだという。タイムスリップおじさんとネムリンは喧嘩を止めようとする。

タイムスリップおじさん「暴力はいけませんよ」

 だが全く相手にされず。

 

 大岩家の玄関先でネムリンは、殴られたタイムスリップおじさんを介抱する。

タイムスリップおじさん「まったく冗談じゃありませんよ。サンタクロースがいるのいないので喧嘩するなんて」

ネムリン「ほーんと。玉三郎のやつ、あの歳でまだサンタクロースがいるって信じてるんだから」

 タイムスリップおじさんは怪訝な顔。

タイムスリップおじさん「ネムリン、サンタがいないと思ってるの?」

 信じないネムリンを、タイムスリップおじさんはサンタに会わせるという。

 

 ネムリンとタイムスリップおじさんは、サンクロースの国へ瞬間移動。そこは雑木林だった。

ネムリン「ただの空き地じゃないか」

 だが、タイムスリップおじさんに双眼鏡を渡されたネムリンは驚く。交番ではサンタの警官がサンタの犯人を連行していて、材木屋でサンタが働いていた。

ネムリン「サンタが出前してる!」

 公園にはたくさんのサンタクロースが。クリーニング屋も肉屋もスーパーも宅配便も八百屋も子どもも赤ちゃんも、みなサンタ。

 やがて「お腹すいてない?」などと話す若い女性のサンタふたりを見たタイムスリップおじさんは、舌をぺろぺろしながら追いかけていく。

ネムリン「発情しちゃった」

 ネムリンがふと見ると、不審なサンタ(でんでん)が「♪ジングルベール、ジングルベール」とでかい袋を持って迫ってきた。サンタは袋でネムリンを捕まえようとする。

ネムリン「何するっちょ!」

 しつこいサンタから逃げるネムリン。

 

 先ほど瞬間移動してきた林で、タイムスリップおじさんは若い女性に花を捧ぐ。ネムリンが「一大事」と逃げてくる。後ろからサンタが「ジングルベール」と唄いながら追っかけてきた。

 

 大岩家の食卓では、パパ(福原一臣)とママ(東啓子)、マコ、玉三郎がすき焼きを食べていた。

ママ「パパお願い、あたしそういうの苦手だから。ね」

パパ「え、おれが? うーん。玉三郎

玉三郎「何」

パパ「サンタクロースの件だが」

玉三郎「パパまでいないって言うの!」

パパ「実はそうなんだ」

ママ「今年のプレゼントもね、去年のプレゼントもみーんなパパとママで買ってきたってわけなの」

玉三郎「またまたまたあ」

パパ「それが証拠に、プレゼントは毎年イトーヨーカドーの包装紙でつつまれているだろう?」

 玉三郎の表情が曇る。

ママ「つまり、この世の中にサンタクロースはなしってわけなの」

 パパ、ママ、マコは3人揃って「なし!」と手で×マークをつくる。だが玉三郎は「違う違う違う!」と否定。

玉三郎「きっとサンタクロースが、イトーヨーカドーの年末のバーゲンでプレゼントを買ってきたんだ」

 玉三郎が階段を駆け上がると、嘆息する3人。

マコ「絶望」

 すると煙が上がり、ネムリンが。

マコ「ネムリン、どこ行ってたの?」

ネムリン「サ、サ、サ、サンタが」

 また煙が上がり「ジングルベール」とあの不審なサンタが出現。ネムリンを追いかける。みなが驚いていると、サンタは「いっただきます」とすき焼きを勝手に食べ始める。

ネムリン「何だこいつ」

 呆気にとられる一同。

 

 翌朝、大岩家の玄関先で体操するサンタ。

サンタ「いちにのサンタ、しいにのサンタ、ごおにのサンタはろくでなし」

ネムリン「へえ、ギャンブルに手を出して、子どもたちに贈るクリスマスプレゼントの予算、ぜーんぶ使っちゃったの」

 笑顔でうなずくサンタ。それでネムリンをつかまえてプレゼントにしようと目論んだのだという。

サンタ「いやいや悪かった悪かった、何しろトナカイは呆れかえって家出はするし、冷蔵庫の中はからっぽになるし。いやいや、きのうのごはん、おいしかったなあ」

 体操してる場合じゃないと言うネムリンに、サンタはどうにかなると意に介さない。ドアから玉三郎が嬉しげに出てくる。

玉三郎「サンタ、サンタだ!」

 玉三郎がひげを引っぱると、サンタは痛がる。

玉三郎「本物だ!」

 サンタが「何だおめえ」と尋ねると、玉三郎は「いい歳をしてサンタの存在を信じている純粋な少年、玉三郎です」。今年のプレゼントに堀越学園の制服を頼む。呆れるネムリン。

 

 マコは自室で掃除機をかけていた。

マコ「ネムリン、あのおじさん、本当にサンタクロース?」

ネムリン「まあ一応はな」

マコ「ああショック」

 ネムリンは「世の中いろいろ判らないことがあるからさ」と諭す。そこへママが。

ママ「玉三郎の夢を壊さないためにお金を貸してくれって、あたしのお財布ごと持ってっちゃったんだけど」

 サンタのギャンブル好きを知るネムリンは焦る。

 

 財布を持って街に繰り出したサンタはパチンコへ。ネムリンが来る。

サンタ「いろいろ心配してもらったけどな、もう大丈夫」

 パチンコで打ち止めを出して制服を手に入れるのだという。ネムリンがママの財布を持ってサンタをはたくと、いつのまにかサンタはいなくなっていた。店員は「ジングルベール」と唄いながら行ったという。

 

 サンタは麻雀をしていた。ネムリンが来ると、

サンタ「いまいい手が入ってんだよ。これでもくわえてろ」

 牌を口に入れられたネムリンは悶絶。またサンタはいなくなっていた。

麻雀仲間「♪ジングルベール ジングルベール 鈴が鳴る〜と出て行った」

 

 サンタは、今度は競馬場にいた。外れてショックを受けるサンタ。

サンタ「これでクリスマスのプレゼント資金も、全部パーか!」

いら立つサンタは、歩いてきた騎手を蹴りつける。

サンタ「お前の馬券だよお前。どうしてトップ走ってたのに、ゴール前で急にびりになるんだよ。大損だよ、この野郎」

 サンタは「金返せ、お前のせいで」と騎手に殴りかかる。都合よく現れたネムリンは「八つ当たりはやめろ」と止めに入るがサンタは無視。そこでネムリンが「このー」と角笛を吹くと、騎手の鞭が浮かび上がってサンタを攻撃。吹っ飛んだサンタは桶に頭から突っ込む。

 ネムリンは、桶をかぶったままのサンタをつれてきた。「おーい」とタイムスリップおじさんが来る。ネムリンはサンタを引き取ってくれと言う。馬の真似をして、反省した様子のないサンタ。

 

 雪降る夜、大岩家ではビビアン(声:八奈見乗児 スーツアクター:山崎清)やモンロー(声:田中康郎 スーツアクター:石塚信之)も加わってクリスマスパーティーが行われていた。今年もプレゼントを待つという玉三郎は真摯に祈る。パパは、プレゼントに堀越の制服を用意してあるという。

ママ「どうせ入学のときは買わなくちゃいけないんだから」

 玉三郎はプレゼントがもらえるように早く寝るという。

マコ「お兄ちゃん、あのまま一生サンタのこと信じて生きるのかしら」

ネムリン「まあ、いたことはいたんだから」

 パパはマコだけでなく、ネムリンとビビアン、モンローにもプレゼントを渡す。パパとママはネムリンを手招き。

 

 今年はパパとママではなく、ネムリンが玉三郎の枕もとにプレゼントを置いてほしいのだという。

ネムリン「パパとママ、町内会でやるクリスマスカラオケ大会に出るんだって」

 だがネムリンとマコが玉三郎の部屋に入ると、既に堀越の制服が掛かっていた。

ネムリン「まさかあのサンタが」

マコ「それしか…」

 だがよく見ると「堀越の女の子の制服」だった。

 

 浮かない顔のサンタ。

サンタ「あーあ、遂にサンタもサラリーローンに手を出す時代になったか」

受付「で、いかほど」

 クリスマスプレゼントは何とかなったが、お正月の餅代に事欠いているという。

サンタ「あと10万円でいいんですけどね」

 サラリーローンの建物の前にも、クリスマスツリーが飾られていた。

 

【感想】

 2度目のタイムスリップおじさん編だが、メインはギャンブル好きのサンタクロースのほう。『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)や『美少女仮面ポワトリン』(1990)など浦沢義雄脚本の不思議コメディーシリーズではクリスマスが頻繁に登場しており、浦沢先生は、風物詩を積極的に取り込むのはそうしないと1年のシリーズが持たないからだとかつて述べていた。

 今回は、サンタクロースが競馬でお金をすって殴りかかるような粗暴なやつだったというアイディアはおもしろいのだが、全般に予想できるような平坦な展開がつづき、成功作とは言い難い。ただしサンタクロースの存在を前半で否定しつつも、結局「まあ、いたことはいた」という結論に落ち着き、柄の悪いサンタが実はちゃんとプレゼントを用意していたというラストはいい。

 浦沢脚本では先述の『ちゅうかないぱねま!』の主人公の両親がギャンブルで生活費を稼ぐという設定で、特に第10話「ユーフラテスは握らない」にて、主人公の父親が競馬と競艇で大事なお金をすってしまうという今回と同様の展開があった。

 クリスマスプレゼントにイトーヨーカドーの包装紙でつつまれていたのは「きっとサンタクロースが、イトーヨーカドーの年末のバーゲンでプレゼントを買ってきた」からという台詞は、ファンタジックな事物に現実の存在を接合するという浦沢式発想で、いつもながら笑ってしまう。

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 サンタクロース役は、映画『冷たい熱帯魚』(2010)や『ヒミズ』(2012)やテレビ『あまちゃん』(2013)などで知られるでんでん氏。筆者には永井愛作・演出の舞台『やわらかい服を着て』(2006)での好演がいまも印象に残る。東映特撮では『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)や『五星戦隊ダイレンジャー』(1993)などにゲスト出演。筋は別段面白くない今回も、まだ30代だったでんでん氏のいきいきした演技は精彩を放っている。 

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 サンタクロースの国という設定は東映映画『侍戦隊シンケンジャーVSゴーオンジャー 銀幕BANG!!』(2010)でもあったが、サンタの警官がサンタを逮捕しているのは今回独自。

 

 前半にタイムスリップおじさんにつけられる若い女性や、雀荘で歌い出す男たちなど端役の人びとが印象的なのだけれども、クレジットには一切名前がなかった。

 後半の競馬場は、『最高の離婚』(2013)などでも使われている大井競馬場。 

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