『どきんちょ!ネムリン』研究

『どきんちょ!ネムリン』(1984〜85)を敬愛するブログです。

第14話「爆笑!タイムスリップ」(1984年12月2日放送 脚本:浦沢義雄 監督:加藤盟)

【ストーリー】

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 庭でディズニーの絵本「シンデレラ姫」を読むネムリン(声:室井深雪 人形操作:塚越寿美子、田谷真理子、日向恵子)、マコ(内田さゆり)、ビビアン(声:八奈見乗児 スーツアクター:山崎清)、モンロー(声:田中康郎 スーツアクター:石塚信之)

 「シンデレラはいつもきたない服を着ていました」の件りで、ビビアンは「かわいそー」と干してあった洗濯物をぐしゃぐしゃに。「ガラスの靴はシンデレラの足にぴったり入りました」のところで興奮したモンローはネムリンをどつく。マコ「こうしてシンデレラは王子さまと結婚して幸せに暮らしました。おわり」

モンロー「おーワンダフール」

 ビビアンとマコは踊る。

マコ「女の子は誰でも一度はシンデレラを夢見るものなのよ」

 マコは「そう思わない、ネムリン」と尋ねるが、ネムリンは椅子の下で寝ていた。

 

 すすきの生い茂る原っぱで寝ようとするネムリンは、くしゃみをする。

ネムリン「さむーい。あ、そっか。いまはもう冬。外で眠れる季節じゃなかったんだ」

 ネムリンがふと見ると、不審なおじさんが「ガラスの靴、ガラスの靴」と言いながらうろついていた。

ネムリン「変なやつ…」

 ネムリンは「おじさん、何者?」と話しかける。おじさんは「アイアム」とネムリンに名刺を渡す。

ネムリン「タイムスリツプおじさん」

おじさん「ノーノーノーノーノー、タイムスリップおじさん」

 タイムスリップおじさん(奥村公延)は愉しげに、踊るように自己紹介。

タイムスリップおじさん「時間や空間を自由に行き来できる、タイムスリップおじさん。そう、童話の世界からいまの時代にシンデレラをさがしにウェルカム!」

 だがタイムスリップおじさんは、ガラスの靴をなくしてしまってシンデレラをさがせないのだという。タイムスリップおじさんは犬のようにはいつくばって、ガラスの靴をさがす。ネムリンはどうしてなくしたのかと尋ねた。

 タイムスリップおじさんはいまの時代にガラスの靴がぴったりの女性をさがしに来た。そして女子高生の足をつかんでは「何すんだよ!」と蹴られ、エアロビクスの女たちの足をつかんで袋叩きにされ、パン屋の女性客の足をつかんで顔にケーキを叩きつけられる。そして「何よこんな靴」と、ガラスの靴を放り投げられてしまった。

タイムスリップおじさん「追われ追われて、ガラスの靴をなくしたという、悲しい悲しいストーリー」

 もし見つけたら名刺の番号に電話してと、タイムスリップおじさんは去る。

 

 ネムリンが「寒い寒い」と言いながら飛んでいると、捨てられたタイヤの上にガラスの靴が。

 大岩家の居間で、マコとママ(東啓子)はガラスの靴にうっとり。マコははいてみる。

マコ「うわあ、ぴったり」

ママ「どこがぴったりなのよ。ぶかぶかじゃないの」

ネムリン「マコ、インチキはだめ」

ママ「ママによこしなさい」

 ママは「ぴったしでーす」と言うが、ネムリンは「どこが」。

ママ「もうひと花咲かせたかったのに」

 今度はたくさん靴下をはいたマコが、ガラスの靴をはこうとする。

ママ「シンデレラはこんなに靴下はいていいなんてルールなーいの」

 ふたりは喧嘩に。

マコ「ちょっとママ、その歳でシンデレラになるなんて、少し図々しくなーい?」

ママ「いいのよ!少しくらい老けたシンデレラがいたって」

ネムリン「女にとって永遠の夢なのかな」

 ネムリンが「シュワッチ」と靴を持って飛んでいくと、ママとマコが追いかける。パパ(福原一臣)がママを足で止めると、ママは「あなたは黙ってて!」とパパを突き飛ばす。ベッドにひっくり返ったパパの足にガラスの靴が装着。

ネムリン「ということは」

 

 原っぱのドラム缶の中にいるタイムスリップおじさんの電話が鳴る。

タイムスリップおじさん「おお、ネムリン殿。何、シンデレラがストライク!?」

 

 ネムリンはパパの首にロープをつけて、引っぱってきた。タイムスリップおじさんを見たパパは驚く。

タイムスリップおじさん「ぴったし! さ、シンデレラパパ。行きましょう」  

 タイムスリップおじさんはパパの首のロープを引っぱる。

タイムスリップおじさん「王子さまがお待ちになるお城へ」

パパ「それはあなたがシンデレラ」

タイムスリップおじさん「シンデレラ?」

 パパは笑って靴を放り投げ、「ばかばかしい」と行ってしまう。タイムスリップおじさんは「かくなるうえは」と受話器から光線を発射し、ネムリンの足を大きくして靴をはめ込む。困惑するネムリン。

タイムスリップおじさん「タイムスリップ!」

 また受話器の光線を浴びて、消えるふたり。

 

 お城の前にやってきたタイムスリップおじさんとネムリン。厭がるネムリンだが、「シンデレラになれば宝石やおいしいものがいーっぱい」と聞いて、

ネムリン「宝石? ネムリン、シンデレラになる!」

タイムスリップおじさん「どうだろ、まあ。ころっと態度変えちゃって」

 

 王子さまの部屋はほこりだらけだった。

ネムリン「これじゃお城じゃなくて物置だよ」

 タイムスリップおじさんは「シンデレラがお城の悪口をスピーキング」と叫ぶ。そこへ玉三郎そっくりの王子さま(飛高政幸)が「タイムスリップ、うるさいぞ」と登場。

ネムリン「玉三郎?」

 王子である証拠を見せようと振り返ると、おしりの部分に“王子さま”の赤い張り紙が。驚くネムリン。

タイムスリップおじさん「王子さま、これがシンデレラでございます」

王子「あ、そう。ぱれぱれぱれ、あっぱれぱれぱれ〜」

 王子は冷蔵庫からバナナを取り出して食べるが、ネムリンにはくれない。ネムリン「何なの何なの」とタイムスリップおじさんに抗議。

 そこへパパそっくりの王さま(福原一臣)とママそっくりのお妃(東啓子)が。

王さま「王子の教育が悪いのもみんな」

お妃「わたくしのせいだとおっしゃるんですか」

 タイムスリップおじさんは「シンデレラを連れてまいりました」と言うが、

王さま「あ、そう。王子がこうなったのも、みんな妃の家柄のせいかな」

お妃「あ、ひどい! ひどい、それはちょっとないんじゃないの。あたしだってさ、結婚したい人他にたーくさんいたのに、あなたがどうしてもって言うから、他の人ふってきたのに」

王さま「それは忘れた」

 王さまもバナナをもぐもぐ食べ始める。

お妃「あーっ、ずるい。すぐとぼけんだから。だいたいこのお城だってね、あたしがローンで」

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 言い争うふたり。ネムリンとタイムスリップおじさんが白けた顔をしていると、モップとバケツをもった女の子が「あなたが今度来たシンデレラ?」。

ネムリン「あっ、マコ!?」

 マコそっくりの女の子(内田さゆり)は「私はいままでのシンデレラ」という。

いままでのシンデレラ「きょうからあなたがシンデレラよ。ああ、助かった。私もこれで自由になれるわ。がんばって、新しいシンデレラさん。目いっぱいこき使われて。バイバーイ」

 ネムリンは怒るが、

タイムスリップおじさん「ネムリン、童話の世界も現実の世界もそんなに甘くはナイチンゲール

 王子は「そのとおーり」とバナナを皮を投げ、ネムリンの顔に命中。

 

 ネムリンは「シンデレラになるって大変なんだなあ」と洗濯物を干す。つづいて夕食のハンバーグをつくれと命じられる。

ネムリン「え、あっちがつくんの?」

お妃「決まってるじゃーん」

 

 タイムスリップおじさんが「トレビアーン」とワインを飲んでいた。そこへ怒ったネムリンが「ネムリン、もうシンデレラやめた。おうちに帰る!」。すると王さま、お妃、王子が向かってくる。

タイムスリップおじさん「ほーら、みんなお怒りです」

 王さまは槍で攻撃。その隙に逃げ出すタイムスリップおじさん。ネムリンが角笛を吹くと、テーブルが浮かび上がり、3人を踏みつぶす。ネムリンはハンマーで逆襲するが、タイムスリップおじさんがいないともう帰れないと言われる。ネムリンは呆然。

王さま「シンデレラ、一生こき使ってやる」

 嘲笑する3人。

ネムリン「タイムスリップおじさーん」

 

 ネムリンは庭で寝ていた。見ているマコとビビアン、モンロー。

ネムリン「何だ、夢だったのか」

 

 食卓を囲むパパ、ママ、マコ、玉三郎、ネムリン。夢の話をするネムリン。

ママ「でもあたしがお城に住んでるなんてね」

マコ「それが冴えないお城なんだって」

ネムリン「そうなの」

パパ「それはね、ママが掃除しないから」

 パパとママは喧嘩に。

マコ「やめてよ、ネムリンの夢の話なんだから」

 ネムリンは庭で叫んでいた。

ネムリン「愉しかったよータイムスリップおじさん。またいつか、会えるよねー」

 三日月にすわっているタイムスリップおじさん。

タイムスリップおじさん「ああ、会えるとも。おじさんも愉しみにしてるよー」

 タイムスリップおじさんは「ねーむれ、ねーむれ」と唄いながらバイオリンを弾く。眠くなるネムリン。マコたちもあくび。タイムスリップおじさんも三日月の上で寝てしまうのだった。

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【感想】

 タイムスリップおじさんが初登場(寝不足おじさんの次はタイムスリップおじさん、ネーミングの安直さ…)。不思議コメディー前作『ペットントン』(1983)では何度もあったパラレルワールド編で、大岩家の面々が別の役で登場。結局夢落ちというのは『ペットントン』の第26話と全く同じで、見ていて思わず苦笑(もっとも『ネムリン』の場合は、シリーズ全体のトーンが夢か現実化あいまいだが)。

 飛高政幸氏は『ペットントン』では3度も別の役で登場しているが、福原一臣氏と東啓子氏は『ペットントン』に出ていてもパラレル世界に不参加だった。東氏は王さまを詰問するシーンで「何よとぼけちゃって、そのとうもろこしみたいな頭しちゃって、似合わないわよ」とまくし立てるあたり、おそらくアドリブでおもしろい。

 

 タイムスリップおじさん役は、『バッテンロボ丸』(1982)や『ペットントン』、『おもいっきり探偵団覇悪怒組』(1987)など不思議コメディー常連で、他の東映特撮にも多数出演した奥村公延氏。奥村氏は『ペットントン』ではレギュラーながら主役回がなく残念だったので、今回は満を持してという感がある。この1984年は奥村氏の代表作である映画『お葬式』公開の年で、つまり脂の乗りきっていた時期。イケメンならともかく、五十路のおっさんがサーカスから逃げ出してきたかのような姿で徘徊し、道ゆく女性の足をつかむ(←痴漢)というのは、第7話第12話のイビキに匹敵するインパクト…(ちなみに奥村氏は第2話にも警官役で登場しているが、あれはタイムスリップおじさんが化けていたのか)。

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 前半のガラスの靴さがしに始まって、中盤でパパがシンデレラだと言い出したかと思ったら、後半はお城でのパラレルワールド編と相変わらず思いつくままつづられる展開で得体の知れない読後感を残す。タイムスリップおじさんはネムリンのピンチに卑劣にも逃げ出している?のだけれども、ラストでネムリンは「また会えるよね」などと言っており、その強引さに笑ってしまう。他の東映特撮のシンデレラねたでは、同年の『宇宙刑事シャイダー』(1984)の第38話「魔少女シンデレラ」が名作で、はるか後年の『轟轟戦隊ボウケンジャー』(2006)の第26話「ガラスの靴」も佳品だったが、筋や設定のカオスっぷりでは今回が群を抜いていよう。

 

 加藤盟演出は幻想シーンに凝ることが多いけれども、今回はファンタジックな三日月に奇天烈な風体の中年男性がすわっているという…。

 

 前半でネムリンが原っぱで寝ようとするシーンでは、くるまった新聞紙に「レーガン」の文字が見える。

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