『どきんちょ!ネムリン』研究

『どきんちょ!ネムリン』(1984〜85)を敬愛するブログです。

第8話「恐怖のお見合い騒動!」(1984年10月21日放送 脚本:浦沢義雄 監督:田中秀夫)

【ストーリー】

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 居間でママ(東啓子)が電話。

ママ「お母さま、そりゃお母さまから見ればうちの人は少し頼りないかもしれないけど。その話は後で」

 

 玄関では、ネムリン(声:室井深雪 人形操作:塚越寿美子、田谷真理子、日向恵子)がポラロイドカメラでビビアン(声:八奈見乗児 スーツアクター:山崎清)とモンロー(声:田中康郎 スーツアクター:石塚信之)を撮影。ママは小学校へ出かけていった。

 居間でさっきの写真を見るネムリンたち。

ネムリン「こうやって見てみると、ビビアンもモンローも化け物って感じっちょ」

 ネムリンが笑うと、

ビビアン「モンロー、あんたこんなこと言われても平気なの」

モンロー「おら知らねぇ」

 そこへ玉三郎(飛高政幸)が帰宅。ネムリンを野球に誘う。

 

 小学校の前で、ママが学校に呼ばれたマコ(内田さゆり)は沈んだ面持ち。友だちが何かと訊くと、

マコ「お兄ちゃんの進学問題」

友だち「同情するわ。じゃあ!」

 そこへママがよろよろと歩いてくる。

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 そんな女たちをよそに、野球場でネムリンをつかんだ玉三郎が駆けてくる。

玉三郎「あったぞー最高のホームベースがあったぞー!」

 みなはネムリンをベースにして野球を始めようとする。起きたネムリンは激怒。

玉三郎「ちょっと踏まれて痛いかもしれないけど、ネムリン、我慢してくれよ。お前なら立派なホームベースになれる!」

 ネムリンは玉三郎をキックして、追いかける。

 

 怒りながらネムリンが帰ってきた。部屋ではママが寝込む。いまの学力では、志望する堀越学園はあぶないと言われたという。

マコ「せめてお兄ちゃんが普通の少年だったらよかったのにね」

 

 夕どき、パパ(福原一臣)が帰宅。寝込んだママは「お願いしますよ」とパパに懇願。パパは「わかったよ」と軽く応じ、ママは疑念のまなざしを向ける。カツ丼を食べていた玉三郎をパパは呼び出す。

 玉三郎が正座していると、パパはいっしょに受験勉強をすると言い出す。

パパ「堀越への道は険しいぞ」

玉三郎「パパ!」

パパ「タマ!」

 タンゴを踊り出すふたり。

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 居間にカラオケの音楽が流れてくる。怒るママ。

 部屋ではパパと玉三郎が「別れても好きな人」を愉しげにデュエット。

ママ「あなた!玉三郎!これはいったいどういうことなんです!?」

 これが受験勉強だというふたり。ママは電話する。

ママ「そうなのよ、お母さま。ふたりしてカラオケなんか唄っちゃって、あたしもう悲しくて悲しくて。じゃあ、あすね。あす必ず来てくれるのね。待ってます」

 顔を見合わせる玉三郎とパパ。ママは水をぐいぐい飲んで自室へ。

パパ「玉三郎、大変なことになったぞ」

 

 次の朝、パパが懸命に庭の芝生を刈り、門扉のあたりに掃除機をかけていた。その音で目が覚めたネムリン。

ネムリン「どうしたの、こんな早くから?」

 黙々と掃除するパパ。マコは、パパはおばあちゃんを恐れているのだという。玉三郎はスーツを着用してネクタイを締めていた。笑うマコ。

 

 マコの部屋。

ネムリン「じゃあパパって養子なの?」

マコ「そうなの、だからこのうちもほんとはおばあちゃんのものなの」

ネムリン「あのパパにしちゃいいうち建てたなって思ってたんだ」

マコ「でもそんなことパパに言っちゃダメよ。傷つくから」

 

 やがて赤い車でおばあちゃん(塩沢とき)が現れる。玄関先で、直立不動で迎えるパパ、玉三郎、マコ。「熱烈歓迎」の文字をぎろりとにらみつけたおばあちゃんは微笑んで、

おばあちゃん「マコ、ママは?」

マコ「自分の部屋」

 そこへネムリンが飛来。おばあちゃんは驚き腰を抜かす。

おばあちゃん「マ、マコ。何です、この化け物は!?」

 マコが「ネムリンというの。私の友だちよ」と言うと、

おばあちゃん「マコ、あんたいつからこんな気持ち悪いやつとつき合うようになったんですか」

 おばあちゃんはネムリンをつかまえようとする。呆気にとられているパパと玉三郎

マコ「何ぼやっとしてんの。早くおばあちゃんを止めてよ」

 パパと玉三郎は「おばあちゃん、血圧が上がります」と止める。ネムリンはマコの肩へ避難。

 そこへママが「うるさいわね」と出てくる。

おばあちゃん「サチコ!!」

ママ「お母さま!!」

 ああ!と何度も抱き合う母娘。

ネムリン「ちょっと大げさすぎない?」

 おばあちゃんはパパを振り返る。

おばあちゃん「だから言ったんです。あたしはこの結婚に反対だと」

パパ「いまさらそんな」

 おばあちゃんは「黙ってらっしゃい」と一喝。

ネムリン「養子ってあんなもんなの?」

マコ「うちは特別みたい」

 おばあちゃんは、結婚前にママに来ていたお見合いの話がまだとってあるという。

パパ「お母さま、それはないでしょう」

おばあちゃん「おだまり、養子」

 おばあちゃんは、しっしっとパパを追い払う。去っていくパパを追う玉三郎

ネムリン「こんなことあっていいの」

 同情したネムリンもパパを追っていく。

 

パパ「玉三郎、ママに言っておきなさい。勝手にしろと」

玉三郎「いいの、そんなこと言って? もしママがお見合いして、新しい父親ができたら、パパはただのおじさんになっちゃうんだよ。それでもいいの?」

 うっと立ち止まるパパ。

ネムリン「パパ、あっちに任せて」

 

 居間でおばあちゃんはママにお見合いを薦める。

ママ「やめて、その話は。私、うちの人愛してるもん」

 ママはおばあちゃんに、パパと玉三郎に説教してほしいと言うが、そこへ玉三郎が。

 

 街でネムリンがパパのネクタイを引っぱっていた。

ネムリン「あんまりよ、夫がいる身で見合いをするなんて」

 ネムリンは、パパもお見合いをするべきだという。

 

 玉三郎に話を聞いたママは、お見合いをすると宣言。

玉三郎「これでやっぱりパパはおじさんになってしまうのか」

マコ「何のんきなこと言ってんの」

 おばあちゃんは玉三郎に、お見合い写真を家から持ってくるように命じる。

 

 パパとネムリンは通りを歩いていた。

パパ「ママだって本気でお見合いする気じゃ…」

 ネムリンは「あ、あの娘なんかどう?」と道行く女性を指す。そこへ「パパ!」とマコが。

マコ「パパ、本当にママがお見合いする気になったわ!」

 「え!」と何やら走り出すパパ。

マコ「ネムリン、あたし新しいパパなんて厭よ」

 

 ネムリンとマコは動物園へ。ネムリンはポラロイドで動物を写しまくれという。インコ、オランウータン、象、ゴリラ…。

 玉三郎がお見合い写真を持ってきた。隣に座ったマコ。

マコ「あ、お兄ちゃん!」

 玉三郎が「あ?」と上を向くと、高架でネムリンが角笛を吹いて風船を飛ばしていた。それを玉三郎が見ている隙に、マコがお見合い写真をいじっていた。

 

 居間でママはお見合いをすると宣言。ショックなパパ。そこへお見合い写真を持った玉三郎が「おばあちゃんお待ちどう」と帰宅。

おばあちゃん「はい、ご苦労さま。さあサチコ、どれがいい?」

ママ「そうねえ」

 ママはパパを見やる。「あああ」とソファに泣き伏すパパ。だがお見合い写真を見たママは怒り出す。

ママ「お母さまは私に、ゴリラや象やクマとお見合いしろっていうの!?」

 お見合い写真に写っているのは動物ばかり。

ママ「ヨウスケさん、何とか言って!」

パパ「ああ。お母さま、これはいったいどういうことです。いくらお母さまでも私が許しませんよ」

 慌ててしどろもどろのおばあちゃん。ママはおばあちゃんを追いかけ始める。玉三郎はまじまじとお見合い写真を見る。

玉三郎「新しいパパはゴリラでもよかったのにな」

 庭で微笑むマコとネムリン。

マコ「大成功ね」

 

【感想】

 母方のおばあちゃん回で、浦沢義雄脚本によくある猛烈老婆のバリエーション(演じる塩沢とき氏はまだ50代で見た目が若いのだが)。不思議コメディー前作『ペットントン』(1983)では斎藤晴彦氏の怪演する姑がレギュラーだったけれども、今回のおばあちゃんは1回こっきり。強烈な人物でパパが婿という設定も面白いだけに再登場してもっと活躍してほしかったうらみが残る。後年の『うたう!大龍宮城』(1992)のおばあちゃん(三條美紀)は後半のレギュラーで、『ペットントン』以上に敵キャラだった。

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 奇想を思いつくままつなげていく浦沢脚本は中途で脈絡のない展開に至ることも多いが、今回は序盤のポラロイドカメラがラストでも活かされて伏線として機能している。一方でパパにお見合いをさせようとしたり、マコに協力したり、ネムリンの言動は一貫性がない(ネムリンがパパにお見合いをけしかけたことにより、ママもおばあちゃんの薦めるお見合いに乗ると言い出した)。

 『ペットントン』では嫁姑の激闘や姑が息子夫婦を離婚させようと企むあたり、ややねちっこく描かれていたが、今回は初期の『ネムリン』らしくほのぼのトーンで一件落着。筆者は初見ではあまり印象に残らなかったのだけれども、見直して記憶していた以上に愉しめた。『ネムリン』の穏やかな通常脱力回は、見直せば見直すほど味わいが増すのかもしれない。

 

 おばあちゃん役の塩沢とき氏は、いまさら説明の要もないほどの名優で、特撮ドラマの出演作としては『レインボーマン』(1972)、『円盤戦争バンキッド』(1976)などが挙げられる。映画『怪獣大戦争』(1965)では婦人団体の代表として「銀河系宇宙の平和のために」などと大まじめに語るのも面白かった。特撮物に意外なほど出演していた塩沢氏だが、『ネムリン』に関してはおそらく非特撮作品で演じていたような強烈な夫人役のイメージでの起用であろう。この時期は、バラエティ『いただきます』にてブレイクする直前か。

 ママ役の東啓子氏は前作『ペットントン』では姑をお母さまと呼んでいたが、今回は実母をお母さま…何だか混乱してしまう。

 

 パパやマコが出歩く街は、前回と同じく吉祥寺。動物園に入るシーンは井の頭公園だろうか?(動物は別撮り) 

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